コラム5: イメージを良くすることが上達につながる

公開日: 2016年2月29日月曜日 持論

こんにちは、リトピです。

このコラムでは、ピアノ以外の雑多なことを書いていきます。今回は、楽器全般…というかスポーツでもなんでも、何らかの動作を上達させたいと思ったときに大事な「イメージ」についてお話しします。

イメージとは

楽器演奏やスポーツにおいての上達の流れは、以下のようになると考えています。

上達: 動作の良し悪しを知る → 悪い動作イメージの払拭 → 良い動作イメージの保持 → 良い動作イメージの定着

このイメージとはどういうことなのでしょうか。例えば…楽器演奏なら「音を良くしよう」とか、バスケなら「シュートがもっと入るようにしよう」など、「もっと上達したい!」と思ったとき、「音を良くするために○○しよう」とか、「シュートがもっと入るようにするために△△しよう」などと考えますよね?このとき、必ず何かのイメージを基準にして、練習方法を考えているはずです。

つまり「【音が良い、というのはこういうイメージだから】音を良くするために○○しよう」とか、「【シュートが入る、とはこういうイメージだから】シュートがもっと入るようにするために△△しよう」という具合です。このイメージは、よっぽど自分で意識しない限り【無意識】に作られています。このイメージが悪ければ、その動作や結果が悪くなってしまうのは、記事「特集5 「包丁を扱う」ことからピアノ練習方法を学ぶ」でお話しした通りです。

ここからもう少し話を発展させます。では、このイメージを作る際、我々は何を基準にすべきなのでしょうか。

結果からイメージを作ってみる

結果とは…例えば、楽器奏者なら【音・音楽】、球技のスポーツ選手なら【ボールの行方】でしょうか。例として、楽器(ピアノ)を演奏するときに、結果からイメージをした場合を考えてみましょう(図1)。

図1. 楽器を演奏するとき、結果からイメージをした場合
この場合、(1)音・音楽を出す楽器があって、(2)その楽器を奏でる指・奏法があるわけですが、大半の方がここで思考停止されているのではないでしょうか?指の形だけを意識したり、指自体を鍛えたいと考えるのはこのためでしょう。その指・奏法を支える【身体】をお忘れですよ!

ただ、確かに音楽は大事ですが、この考え方で良くないところとしては【飛んでいる音の方向】と【自身のイメージの方向】が違うことでしょう。もちろん飛んでいる音は、(3)自分の耳にも届くので、自身のイメージの方向が同じように見えますが…大事なのは自分の耳に入ってきた音ではなく、楽器から飛んで行った音そのものではないでしょうか。

そもそも、自分の耳に音が届くということは、すでに自分の演奏動作が【終わった後】だ、ということを忘れてはいけません。耳は、自分の動作の【評価】には使えますが、(悪い)動作自身の【停止・訂正】には使えません(音が聴こえたときには、その(悪い)動作はすでに終わっているので)。つまり結果、ここでは【音】をイメージの基準にすると自身の動作をより良いものにできなさそうですね。そのため、イメージの基準を別にする必要がありそうです。

動作の開始点を基準点にする

また例として、楽器(ピアノ)を演奏する場合を考えてみましょう(図2)。

図2. 楽器を演奏するとき、動作の開始点からイメージをした場合
動作の開始点と言えば…そう、【脳】ですよね。この場合のイメージの仕方を簡単に説明すると…(1)【脳】の指令によってまず【頭-首-背中】のエリアが「ヘッド・リード」(参考『アレクサンダー・テクニークの学び方』)で動き、(2)それに追従して【身体】が動作。(3)その動作を利用して【指】が自在に動き、(4)指の運びによって【楽器】が奏でられ、(5)楽器から【音・音楽】が飛んでいく。という流れです。これなら【飛んでいる音の方向】と【自身のイメージの方向】が一緒なので、楽器から飛んで行った音そのものに意識をスムーズに向けられます。

この考え方が、記事「特集5 「包丁を扱う」ことからピアノ練習方法を学ぶ」でお話しした【イメージが悪ければ、その動作や結果が悪くなってしまう】ということにつながるわけです。動作の開始点、つまり【脳】自体に、良い動作・良い音のイメージがなければ、その先の【頭-首-背中】→【身体】→【指】→【楽器】→【音・音楽】は良いものにはならない、と考えられるようになりませんか。脳内のイメージが悪いと、例えば「【音が良い、というのはこういうイメージだから】音を良くするために○○しよう」の○○が良い方法ではなくなります、まず初めに出てくる【こういうイメージ】の内容自体が悪いので。

ちなみに、この考え方はスポーツも同じだと思っています。例えばテニスなら、イメージの基準点を動作の開始点である【脳】にすると、以下のようになるでしょう(図3)。キチンと【ボールが飛んでいく方向】と【自身のイメージの方向】が一緒になるので、ボールを飛ばす先を意識・イメージしやすくなると思います。

図3. テニスをするとき、動作の開始点からイメージをした場合

まとめ

楽器もスポーツも、動作のイメージを作るときはその動作の開始点である【脳】から始めると、音・ボールの飛んでいく方向までスムーズに意識・イメージができるので、全体を通して良い動作イメージが作られていくと思います。その良いイメージを保持し続ければ、【上達】の2文字が目の前に現れてくれるでしょう。

疑問点1: なぜ良い動作を【する】ではないのか?
疑問点2: 良い動作イメージの定着って何?

あれ、キチンとまとめたはずなのに疑問点が!?

疑問点1については「良いイメージを【保持】するだけでいい、だなんて都合が良すぎない?」という声が聞こえてきそうですね(笑)。疑問点2については、いわゆる【慣れ】というものですが、ここでは割愛します。これらは非常に難しい事項なので、ここでは簡単にヒントだけ述べておきます。後ほど記事にまとめます。

  1. ヒント1: 人間の身体は【意識的に】コントロールできない。
  2. ヒント2: 小脳の働きによって一連の動作は自動化される。

では。

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