特集4 「字を書く」ことからピアノ練習方法を学ぶ-その2

公開日: 2016年1月25日月曜日 ピアノ 持論

こんにちは、リトピです。

今回は、記事「特集3: 「字を書く」ことからピアノ練習方法を学ぶ-その1」の続きです。

前回は、利き手と逆の手で「字を書く」とき、一生懸命書こうとして力んでしまうのは、「字のとめ、はね、はらい」や「字の大きさ(マスに収めるとか)」という【正確性】と、利き手と同じくらいの速さで書こうとする【スピード】の過剰な意識によって発生するオーバーワークによるもの、とご紹介しました。

今回は、そのオーバーワークによる力みが取り除かれた後、どのようにすれば利き手と逆の手で字が書けるようになるのか、また、その流れ・手順を応用して、どうピアノに活かすことができるのか、考えてみましょう。

利き手と逆の手で書く字の上達方法の流れ-その1

さて、前回の記事「特集3: 「字を書く」ことからピアノ練習方法を学ぶ-その1」で学んだ通り、最初は適当なスピードで字を書きつつ「字のとめ、はね、はらい」や「字の大きさ(マスに収めるとか)」を極力無視することによりオーバーワークによる力みがなくなったことで、その他の理由による腕や指の力み(詳細は、記事「番外編5: 【力み】の発生理由とその対策方法」を参照)が感じられるようになります。

利き手と逆の手で書く字の上達の近道は、その力み(間違った考えによる【必要な力】)の原因(間違った考え)を一つ一つ突き止め、その「必要な力を減らす」方法を考えたり「必要な力を、より大きな力を出せる部位に任せる」ということを考えることです。以下、考え方の例を示します。

1. どれくらい力を入れれば字は書けるのか

どれくらいの力でペンを持てば安定するのか、どれくらいの力をペン先に入れれば字が書けるのか/筆圧がちょうどよくなるのか、どれくらいの力でペンを動かせばスムーズにペン先が動かせるのか、いろいろ試してみて、自分に最適な「必要な力」の【入れ具合】を探してみてください。

2. 字を書くことに意気込みすぎていないか

字を書くことに気合を入れすぎて緊張していませんか。緊張は身体のこわばり、力みにつながります。この場合は力を抜くことを意識するのではなく、意気込みすぎない方法や緊張のほぐし方を探してみましょう。

3. 肩や肘、腕や手首などをキチンと支えているか

肩や肘、腕や手首などの力を抜きすぎると、腕全体の支えがなくなります。イメージとしては腕がだらっとした状態ですね。そうすると、字を書くときは腕の重さ全体を机に乗せることになります。腕全体の重さは、体重50 kgの人は3 kgちょっとです(詳細は、記事「なぜ「脱力」は敵なのか5: 身体は鍛えるな。感覚を鍛えろ。」を参照)。そんな重たい腕が、肩などで支えられないまま(腕がだらっとしたまま)机に乗ったまま状態になるので、ペン先や腕自体を動かすのがかなり大変になります。(寝ている子どもを抱えている状態を想像してください。寝ている子どもの身体全体の支えがなくだらっとしているので、たぶん、子どもが起きている状態のときより重く感じるはずです。)

実は、手は支えられることで軽くなります(参考文献『ピアノを弾く手』)。そして、その支えは「必要な力は、より大きな部位に任せる」とどんどん楽になります。肩や背中など、字を書くときに必要ではないと思ってその部位を切り離していませんか。姿勢は【固定】や「脱力」ではなく、【自由】にさせることが大事です。自分に「最適な支え」を身体全体を活用しながら探してみてください。

利き手と逆の手で書く字の上達方法の流れ-その2

上記1,2,3などの方法で、利き手と逆の手で字を書く練習をすると、少しずつ、利き手と逆の手で字を書く動作をさせるための神経細胞が増えてきます。そうなると、字を書く時に余裕が出てくるはずです。ここでようやく【きれい】な字(「字のとめ、はね、はらい」や「字の大きさ(マスに収めるとか)」など)を書く練習が行えます。

ただし、ここでの注意点も今までと同じで「一度にいろいろやらない」ということです。つまり、「問題は分割する」ということです。そのため、以下のような手順が一番効率の良い【きれい】な字を書く練習方法だと思います。

4. 「字のとめ、はね、はらい」【だけ】を取り出して練習する

【きれい】な字を書くためには、ある一つの字を書き続けるのではなく、「字のとめ、はね、はらい」【だけ】を取り出して練習する方法があります。習字のお稽古では、そのようなことをやっているのではないでしょうか。字の一部分だけを取り出すことことで、字全体ではなく、字を【きれい】にするための「字のとめ、はね、はらい」の形・書き方【だけ】に集中することができます。

5. 書いている字【以外】の部分も見てみる

マス目のないところに字を書くとき、字の大きさを気をつけないと、1行で書きたいところが2行になってしまったり、中途半端なところで改行しなければならなかったりと、「字の大きさ(マスに収めるとか)」を考えるのに苦労することはないでしょうか

その時に効果的なのが、「書いている字【以外】の部分も見てみる」ということです。つまり、書いているときに注目するべき点を、【字そのもの】ではなく、書こうとしている枠の大きさ、行間、その他余白にしてみよう、ということです。「対象物の間にある空間」のことをアート用語では【ネガティブスペース】(参考URL: http://gigazine.net/news/20130325-logo-negative-space/)と呼びますが、それらを【ネガティブスペース】と呼んでも差し支えないと思いませんか。

この「書こうとしている枠の大きさ、行間、その他余白」、つまり【ネガティブスペース】を意識することで、「この枠には、この線をどのくらいの長さで書けば字全体が入るのか」、「この行には、あとどれくらい字が書けそうなのか」を予測することができます。これは、【字そのもの】だけを見ていては、まったくできない予測でしょう。この予測ができるかどうかが、字の大きさを全体的にそろえられるかどうかに関わってくるでしょう。

まとめ

前回および今回では、利き手と逆の手で「字を書く」ということを通して、字を【きれい】に書く方法をまとめてみましたが、ほぼ、みなさんが字を【きれい】に書くときにやってきたこと、気をつけてきたことではないでしょうか。その考えをピアノに応用してみると、次のようになるでしょう。

ピアノに置き換えてみよう~ピアノ練習方法の共通点~

まず、【正確性】と【スピード】を極力無視し、オーバーワークによる力みを取り除きます。その後は、以下の手順でピアノの練習に励んでみましょう。

  1. どれくらい【力を入れれば】ピアノは弾けるのか
    → 適度な力の【入れ具合】を探す
  2. ピアノを弾くことに意気込みすぎていないか
    → 緊張のほぐし方を見つける
  3. 肩や肘、腕や手首などをキチンと支えているか
    → 姿勢は【固定】や「脱力」ではなく、【自由】にさせることが大事
  4. 音の強弱やアーティキュレーション【だけ】を取り出して練習する
    → 例: 曲全体を通して練習するのではなく「スタッカートの部分」だけを取り出して「スタッカートの練習」をする
  5. 音符【以外】の部分も見てみる
    → 音符と音符の間からは、指・腕をどれくらいの時間で、どれくらいの距離を移動させなければいけないか、などが読み取れます

これらのことを気にしていけば、利き手と逆の手で「字を書く」ときと同じように、おのずとピアノが上達すると思います。ピアノの練習方法に困っている方はぜひ試してみてください。

では。

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